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「はぁ……」
とてつもなく飢えている……
「やっぱ、行かなきゃなー」
「お前なぁ……面倒臭がるなよ?」
死んじまうんだからさ……
ユノヒョンの言葉に苦笑い
「そうだよねー……
面倒臭い体だなぁ……」
「でもさ、すげぇ能力あるじゃん」
戦闘能力一番高いしさ?
「この御時世だから、強けりゃ
いいかもだけどさ、俺達の仕事が
終われば、必要無いじゃん?」
「まぁ……そうだけどさ」
慰めようとしてくれてるユノヒョンに
ひねくれた俺は、唇を尖らせる
「面倒な体なのは、僕も一緒ですよ?」
大きな瞳で見つめてくるチャンミン
「まぁ……確かにな……」
「そろそろ行かないと……
また寝れないよ?」
て言っても、元々僕達夜行性だから
夜あんまり眠くないけど……
「また先生に怒られちゃうよ??」
「じゃあ……行ってくる」
はぁっと溜め息
それから窓を開ける
眼下には森と……街……
「あっちの方から、うさぎさんの匂いが
します」
「サンキュ」
段々と空気に溶け込む
それから、吹いてきた風に乗り、森へ
向かった
グジュッ……ジュルッ……
「はぁ……」
手の中には一匹の哀れなうさぎ
「……ごめんな」
力無く垂れた耳、閉じられた目
投げ出された四肢……
白い毛に、赤い血
まだまだ、広いこの森を
駆け抜けたかっただろうな……
「ほんと……ごめん」
何百年もこの行為を繰り返し、もう涙は
枯れてしまった
でも、未だに悲しみから抜け出せない
なぜ、こんなにも生々しく、命を
奪わなければならないのか……
生きる為だと分かっていても
慣れる事が出来ない
自分の運命を呪う
冷たくなっていく、ほんの数分前には
温かい血を体中に巡らせていたうさぎを
ゆっくり抱き上げ、飛び立とうとする
渇きを潤すと、襲う虚しさ……
「誰だい?
そこにいるのは?」
ガサッ……
他の同種ならすぐ分かる筈
動物か?
人か?
「チッ……面倒だな」
俺は音を追い掛けて飛び立った
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