.。* Ⅱ *。.

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「ん……」 固い…… ザワザワッ…… 木々が揺れる音 目を開ける 暗い暗い森の中 どこなのかも分からない 「寒い……」 薄い真っ白なワンピース 裸足 「どうしようかな……」 ちょっとウロウロしてみようか…… ガサガサ…… 目の前をうさぎが駆け抜けた 「なんだろ?」 うさぎと反対側に進む ……グジュッ……ジュルッ…… 「!?」 辺りには独特の匂い そして「何か」がうさぎに食らいつき 血を飲む音 不思議と嫌悪感や、危険だと思う 気持ちは無く、暫く見入ってしまった 小さく呟く声までは聞き取れないが 悲しそうな表情は分かる その人は、うさぎを抱きかかえた 「誰だい? そこにいるのは?」 拭い切れない血を、口の端から零し 此方を向いた彼に、驚き走る 「はぁっ……」 せっかく見つけた人なのに 逃げてしまった 「うーん……」 「ちょっと……逃げないでよ」 ばっと振り返ると、さっきの人 「見たんでしょ?」 「あ……え??」 「俺の食事」 「あ……はい……ごめんなさい、勝手に」 少し怪訝な顔をされる 「恐くないの?」 「……?」 「もしかして、君も同種になりたくて 迷い込んだの?」 同種?? 「私と貴方、違うの?」 「はっ?」 今度は不思議そうな顔 「君……どこの人?」 「え?」 「ここの麓に住んでるの?」 私…… 「分かりません」 「はい?」 「何にも分からないんです」 この人が、人なようで人ではない事も それを簡単に受け入れられる自分が おかしい事も分かってる つまり、ある程度の常識は備わってる でも 「名前も、どこに住んでるかも、全く 分かりません」 「……え?」 自分についての情報が、ごっそり 抜けていた 「……俺んち、来る?」 「ほんとですか?」 「……兎に角、一晩は」 「有難う御座います」 と言うわけで、初めて会った 普通じゃない彼に、泊めてもらう事に なった
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