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「有難う御座います」
うさぎを手渡す
「……ごめんなさい
僕の血肉になって、生きて下さい
……頂きます」
いつもの挨拶の後、口を開くチャンミン
その口内には、獣特有の牙がズラリと
並んでいる
可愛い顔して、こういう時は
獣丸出しだよな……
「御馳走様でした
……ユチョンヒョン……
有り難う御座います」
「いいって……
俺も自分が噛んだ後の処理
しなくてすんでるから」
「でも……
結局ユチョンヒョン一人に
狩りをさせて……」
「しなくて済むなら、しない方が
断然いいよ?」
しなくて済むんだから、俺が持って
帰ってくる生肉、大人しく食えよ
「それともなにか?
象でも食いてぇのか?」
「あははっ……
僕でも食べ切れません」
コロコロ笑うチャンミン
お前のその笑顔に、どれだけ
救われてるか……
お前が食べてくれるお蔭で、どれだけ
自分の運命を、悪くないと思えるか……
お前のその笑顔が曇らないなら、一人で
狩り位、どうって事ねぇよ?
「で、ユチョンヒョン……
あの子、変ですよね?」
「ん?
まぁ……変っちゃ変だな」
「違いますよ!!
気配がない」
「……あっ」
そうだ、そうだよ!!
人間なら人間の気配もある
匂いだってする筈だし、俺があそこまで
近づかれて、気付かない訳がない
気付かなかったんじゃない……
気付けなかったんだ……
「あの子は何なんでしょう?」
「……俺達が探している者かもしれない」
ユノヒョンが部屋に入って来て
ソファーに腰掛ける
ユノヒョンの種族は、みんな容姿端麗
頭脳明晰……まぁ個人差あるけど……
ユノヒョンの容姿は、本当に見事だ
ソファーに座るだけでも気品が
漂っている
「ほら、あっただろう?
『全ての終わり近付く時、現れたし
それ、万物を救い、再び均衡を
保つであろう
それは万物の中枢に位置し、万物を
見守り、導き、しかし万物と
対等にあることを望む』」
「僕達が探す者……」
「手掛かりは文献のみ
俺達は何千年も待ち続けてきた」
「やっと……この混沌を?」
そう……
ユノヒョンは何千年も待ってきた
「でも、彼女、記憶がない」
「……そうか……」
凄く落胆した表情のユノヒョン
「気配が無いのも、やっぱり
気になります」
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