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普段から人を見ないせいもあるが、見慣れない女の子だった。
同じ学生服を着ているから、ここの生徒には違いなさそうだが。
「だからって、いきなり顔を出さないでよ」
女の子の手を取るにはちょっと恥ずかしかったので、何事もなかったかのように、僕は手で汚れを払いながら立ち上がった。
気のせいかもしれないが、「むっ」と不満そうにうめかれてしまった。
「それで、僕に何か用?」
改めて彼女を見てみると、中々面白い寝癖があった。
髪が左右から少しだけ跳ねていて、まるで犬か何かの耳のようだった。
「噂を確かめたくて来ちゃました!」
よく笑う子だなぁと思いながら、僕は再び絵描きを再開する。
「噂?」
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