櫻井優樹

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「もっと何かないの!?」 ……教室から出ていくどころか、無駄に輝くその瞳を近づけてくるとは。 「ないよ。本当にこれだけの力なんだから」 「じゃあさ、じゃあさ! 魔法があるんだからさ。今日までことを話してくれないかな。すっごく興味があるんだけど」 子供のように無邪気に笑う彼女を見たせいか、不思議と僕も笑ってしまう。 たまには、こんな日があってもいいかもしれないな。 「話って言っても、なんか面白い話ってあったかなぁ」 「それじゃあ、なんで絵を描いてるか。話して欲しいな」 「描いてる理由か。そうだな、きっかけは確か――」 夕陽を眺め、筆を止めることなく、僕はゆっくりと話し始める。
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