恋人

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それに実感が沸かないのも理由の一つだけど、それだけじゃなくて…… その時ふと何かに気付いたのか。 楓は苦笑いから悪戯っ子のような笑みに変わった。 「もしかして、照れてたりする?」 「!」 的確な指摘に思わず固まってしまった。 しまったと思ったが時既に遅く、弁解するよりも先に楓がにこにこと満面の笑顔でまた私の肩に手を置いた。 「そっか、そうだよね」 「え、な……」 「この間まで友だちだったのに、急に関係が変わったら分からなくなっちゃうよね」 「か、楓、違……!」 「大丈夫だよ飛鳥、私は飛鳥の味方だからね」 何故だろう。 いつも見慣れているはずのその笑顔に胸騒ぎみたいなものを覚える。 ちょっと待って、と反論するのを邪魔するようなタイミングで鳴ったチャイムと同時に教員が入って来て。 笑顔だけを残して楓は席に着いてしまい、もう話を続けることは出来ない。 額に手を置き、誰にも聞こえないように長い溜め息をついた。  
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