5694人が本棚に入れています
本棚に追加
大樹は丸めた雑誌で手のひらをポンポンと叩いた後、それを俺に向けた。
しかも心底馬鹿にしたような目つきで。
「愚かな親友に同情していくつか助言を与えてやろう」
「愚かって言うな!」
「まず一つ目。お前が本気で肉食系男子になれるとでも思ってんのか?」
「な、なってみせ……」
「無理だな。絶対無理」
こっの、俺が言い切らないうちに否定しやがった……!
「お前なんていいとこヘタレ系男子だ」
「ヘタ……っ!?」
ついでとばかりに追い打ちまで。
ホントに親友か!?
反撃しようとした俺の眼前に雑誌が突き出される。
ご丁寧にも先ほど俺が開いた『肉食男子』特集のページを。
「じゃあ聞くけど、聖。お前千倉を部屋に呼んで二人きりになれるか?」
「う……!」
「そこから有無を言わさずキスを仕掛けられるのか?」
「うぅぅ……!!」
「あまつさえ、ベッドに押し倒して――」
「だーー!分かったよ、悪かったよ出来ねぇよどうせ!!」
遮るように叫んだ。
ああそうだよ、出来ない。
ぜってぇ出来やしない。
想像だけで頭パンクしそうだよ、どうせヘタレ系だよ俺は!
最初のコメントを投稿しよう!