恋人

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大樹は丸めた雑誌で手のひらをポンポンと叩いた後、それを俺に向けた。 しかも心底馬鹿にしたような目つきで。 「愚かな親友に同情していくつか助言を与えてやろう」 「愚かって言うな!」 「まず一つ目。お前が本気で肉食系男子になれるとでも思ってんのか?」 「な、なってみせ……」 「無理だな。絶対無理」 こっの、俺が言い切らないうちに否定しやがった……! 「お前なんていいとこヘタレ系男子だ」 「ヘタ……っ!?」 ついでとばかりに追い打ちまで。 ホントに親友か!? 反撃しようとした俺の眼前に雑誌が突き出される。 ご丁寧にも先ほど俺が開いた『肉食男子』特集のページを。 「じゃあ聞くけど、聖。お前千倉を部屋に呼んで二人きりになれるか?」 「う……!」 「そこから有無を言わさずキスを仕掛けられるのか?」 「うぅぅ……!!」 「あまつさえ、ベッドに押し倒して――」 「だーー!分かったよ、悪かったよ出来ねぇよどうせ!!」 遮るように叫んだ。 ああそうだよ、出来ない。 ぜってぇ出来やしない。 想像だけで頭パンクしそうだよ、どうせヘタレ系だよ俺は!  
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