恋人

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――――ワケがなかった。 「飛鳥、昨日読んだ雑誌にね、すっごくお洒落なカフェが載ってたの!」 「そっか、今度行ってみる?」 「うん!行きたいなぁ」 昼休み、お弁当を広げながら女の子らしい話題に花を咲かせる千倉と楓ちゃん。 無言でパンをかじる俺。 それらを眺めつつ、お茶を飲む大樹。 1月、冬休みが終わった辺りから。 俺たちはまた以前のように、昼飯を一緒に食べるようになった。 それは数ヶ月ぶりの光景で。 どことなくぎこちなかった雰囲気も日々を重ねるうちに消えていき。 残ったのはただただ穏やかなひと時。 4人が揃って昼休みを過ごせる時間が戻ってきたこと、それが本当に嬉しくて。 同時に楓ちゃんとの約束を守れてたことにホッとした。 何気ない、代わり映えのしない日常。 それがどんなに幸せなものかを噛み締め、暖かな毎日に浸っていた。 ……そう、浸っていたのだ。 少なくとも、1週間前までは確かに。  
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