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「そういえば、もう聖くんと何処か行ったりした?」
早坂と九条君が教室に戻った後。
楓がまるで日常会話のようにそんなことを言うから。
一瞬、何の話か分からなかった。
「何処かって……何で?」
きょとんと首を傾げると、楓は目を丸くした。
「え、何でって……だってもう一ヶ月経ってるんだよ?」
その言葉が何を示しているのかは流石に私でも分かる。
それが何となく気恥ずかしくて視線を泳がせた。
それにしてもよく分からない。
「……それはそうだけど、それがどうして何処かに行くことと繋がるの?」
「…………」
「? 楓、どうし……わっ」
ガシッ、と突然両肩を掴まれ。
思わず小さく声を上げてしまう。
けれど楓は気に留める様子もなく、私を見つめるとても真剣な表情に息を呑む。
「飛鳥」
「……な、なに?」
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