序章 『斑と白』

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今日も日だまりの中でいつもの様に微睡んでいる。 『くぁ~』 隣から大きな欠伸をする声が聞こえてくるが、いつもの事なので特に気にならない。 気になるのは、あいつの寝相の悪さだ。 パンパンに膨らんだ腹を突き出すようにして寝るなど信じられない。 こいつは小さいくせに度胸が座っているというか、単に間が抜けているのか。 まあ、どちらでも構わないか。 さて、俺ももう一眠りするかな。 ポカポカとした春の日差しが降り注ぐ縁側の隅に、2枚の座布団が並んで敷かれています。 それぞれの座布団に大きい猫と小さい猫が気持ち良さそうに寝ていますね。 大きい猫は丸くなって、小さい猫は仰向けでどちらも幸せそうです。 大きい猫の名前は斑(まだら)。 毛色が白と黒の斑模様なので斑と名付けられました。 小さい猫の名前は白(しろ)。 名前通りの真っ白な猫です。
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