―a Bolt from the Blue―

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 受信した画像に映っていたのは、桃と誘拐犯。 「桃ちゃん、警戒してるようには見えないよ!」  あおいは画像の中の犯人を睨んだ。 綺麗な女の人。 ショートカットの黒い髪に、はっきりした美しい顔立ち。 女性の割にかなり長身で、桃との差で考えるとヒールを考慮しても165㎝は優にあるだろう。 スタイルも抜群、という感じだ。  「……誰なの?」 会ったことはない。  同じく、新国際線ターミナル。  「悠……、……お帰りなさい。生きているなんて、思わなかった」 「ただいま、魅流」 それは、約五年ぶりの再会で。  スタイルの良いスーツ姿の男性に抱き付く魅流。 「どうしよう……、涙が出てくる」 魅流がこんなにダイレクトに感情を表すのは信頼している人にだけだ。  この五年間、連絡は一度もなかった。 神崎 悠はSSCのエージェントで、五年前、任務でフランスに派遣された。 その間、魅流どころかSSCにすら連絡は入れていない。  「ごめんな。本当に、誰も信じられない環境だった。ボスから聞いて想像していたよりも辛い状況で、何度か死にかけた」 「よかった、本当に……、よかったわ。もう言葉が出てこないわね」 魅流は顔を上げてフッと笑った。
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