―a Bolt from the Blue―

14/20
前へ
/107ページ
次へ
 だが、空港で姉の姿を見付けたら? 桃も、誘拐犯の女も、あおいがここに居るとは思っていない。  「桃を信じ込ませるには家族関連の台詞しかないと思うの。だから桃が私を見たら、何かしら反応するはず」 「桃ちゃんがあおいの方に来なかったら?」 『誘拐犯にもあおいの存在がバレるよ?』 「うん、でも急に撃ったりすることは相手にも出来ないよ。それにここには体術のスペシャリストが居る。私に注目したら光が居ることは余計に気付かない。光が犯人をちょっと、気絶でもさせてくれれば」 あおいは光をジッと見つめた。 光は力強く呟く。 「どっちに転んでも良いって訳か」 そして少しの間があった後、由来が渋った様な声で言った。 『わかった、それでいこう』  二人はトイレから少し離れた所で別れた。 あおいは桃の目に留まる様に、光は誘拐犯の背に回れる様に。  二人と由来の間に、肌をチクチクと刺す様な張り詰めた空気が漂った。  あおいの視界に桃が入る。 わざと距離を伸ばし、あおいは桃を直視するのを止めた。
/107ページ

最初のコメントを投稿しよう!

22人が本棚に入れています
本棚に追加