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だが、空港で姉の姿を見付けたら?
桃も、誘拐犯の女も、あおいがここに居るとは思っていない。
「桃を信じ込ませるには家族関連の台詞しかないと思うの。だから桃が私を見たら、何かしら反応するはず」
「桃ちゃんがあおいの方に来なかったら?」
『誘拐犯にもあおいの存在がバレるよ?』
「うん、でも急に撃ったりすることは相手にも出来ないよ。それにここには体術のスペシャリストが居る。私に注目したら光が居ることは余計に気付かない。光が犯人をちょっと、気絶でもさせてくれれば」
あおいは光をジッと見つめた。
光は力強く呟く。
「どっちに転んでも良いって訳か」
そして少しの間があった後、由来が渋った様な声で言った。
『わかった、それでいこう』
二人はトイレから少し離れた所で別れた。
あおいは桃の目に留まる様に、光は誘拐犯の背に回れる様に。
二人と由来の間に、肌をチクチクと刺す様な張り詰めた空気が漂った。
あおいの視界に桃が入る。
わざと距離を伸ばし、あおいは桃を直視するのを止めた。
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