痴漢

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僕は無心になろうと思い目を閉じた。 すると隣で痴漢をしているサラリーマンの荒い鼻息が聞こえてくる。 無心だ無心・・・無心・・・無心。 「フーッ、フーッ、ハァ、フーッ」 隣のおじさんの鼻息がどんどん荒くなる。 僕はギュッと目を瞑る。 すると頭のなかで二人の僕が喧嘩しだした。 「やっぱりお姉さんを助けるべきだよ!!」 と言う僕は真っ白な服を着て、頭の上に光る輪っかを着けて、背中には羽が着いていた。 うんそうだよね、助けるべきだよね。 よしっ!! 勇気を出して目を開けようとしたら もう一人のほうが、 「グヘへ、助けたってこの親父に怨まれるだけだぜ」 グヘへって・・・。 でも確かにそうだよね。 怨まれるってかなりキツいし・・・。 こいつはいかにも悪魔って格好をしていた。 やめとこ。 目を開けるのを止めた。 すると天使が、 「これがあなたの変わるチャンスかもよ?」 変わる・・・・・・チャンス? この地味で、友達もほとんどいなくて、小心者で、チビで、格好悪い僕の変わるチャンス? 変われるのかな? 変わりたいな・・・。 ゆっくりと目を開ける。
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