悪い、肌。

『今日、飲みたい』
『どこで？』
『今から行く』

私の都合はおかまいなし。
そんなメールが彼から入る。

私は自分の状況を瞬時に計算する。

部屋、掃除したてで良かった。
暖房もつけてたから暖かい。
でも、今日着てた服がまだ散らかったままだ。
クローゼットと洗濯機に仕分けて隠そう。

顔、メイク落としてなくて良かった。
けど少し直したい。
パウダーをはたいて軽くチークをのせて、リップクリームを塗り直す時間くらいはあるだろう。

服、タンクトップにパーカー、ゆるめのパンツ。
普通の部屋着。
変に着替えても意識したみたいで嫌だし、このままでOK。

髪、帰宅して結んでしまったせいでクセがついてしまった。
キレイに結び直して誤摩化そう。

そして、頭の中にやることリストをインプット。

「よし」

一息ついて、すぐに取りかかる。

彼と私の家の距離を考えると、猶予は5分。
突然の訪問に対処する能力だけはスキルアップしたような気がする。