おとろし

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ある日、ふもとの里から子供たちが、 山道をわいわいとやって来た。 その目の前にいきなり、ばさりと おとろしが落ちてきた。 子供たちは泣き叫びながら、森の中へ ちりぢりに駆け去った。 おとろしはふんと鼻を鳴らしただけだった。 またある日、一人の若者がおとろしの もとにやってきた。 若者はおとろしの姿を見るなり、 次々と矢を射った。 おとろしがふいと首をふると、矢は 空中でくるりと向きをかえ、若者に 襲いかかった。 若者は息も絶え絶えにその場から逃げ帰った。
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