case-3 正体。

2/22
前へ
/912ページ
次へ
翌朝、緋史を送ってからそのまま事務所へと揃って行った。 すると、9時だと言うのに事務所の扉の前にお客さんが居た。 「あれ…?田村さん?」 私の声に気付いたのかこちらを向いて軽く会釈をする。 「あれ~?どうしたんですか~?お仕事は?」 「あ、今日はこの辺りを回る予定だったので…少し気になる事があって…」 「まぁ、どうぞ~」 薙さんを先頭に事務所へ入る。 私はコーヒーの準備をする。 「昨日はどうでした?」 「言われた通り、首にかけて寝たら彼女は現れませんでした…」 「それは良かったですねぇ~」 「でも、また違う霊が現れて…」 「また、ですか?」 「はい…」 コーヒーの用意をしている私ですが… チラチラと見られているような視線を感じます。 盗み見が下手すぎるよ!!田村さん!! 「それが…ここの事務員さんに似た霊で…」 ガチャン その声に、思わず私はカップを手から滑らせる。 割れてはいない… 「え~?うちの事務員にですかぁ~?」 空とぼけるような言い方を薙さんは先ほどからしている。 でも、何となく分かる… 怒ってる!!!?(・∀・;) 「うちの事務員は別に欲求不満になる事はないと思いますけどぉ~」 2人にコーヒーを出すと、私は事務机へと引っ込む。 その間も田村さんはチラチラと見てくる。 何か、この視線… 前にも感じたような…? 「いえ…事務員さんと言う確証はないんですが…」 「どんな状況だったのか教えてくれますかぁ?」 にこにことコーヒーをすすりながら薙さんが言う。
/912ページ

最初のコメントを投稿しよう!

466人が本棚に入れています
本棚に追加