時計

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私はこの部屋の壁に掛けていた、丸い時計を確認すると、 「よし…まだ、時間がある。一寝入りするか」 と考え、座布団を枕代わりにすると、早速、天井を向いたまま、腹に手をのせ、ゆっくりと、瞼を閉じました。 ジワジワジワジワジワ…… 窓からは強い日差しがさしており、外はセミの鳴き声が、けたまましく鳴り響いていました。 私を汗をかきながら、気持ち良く、目をつむっていました。 やがて、私は、少し眠った、というか、夢うつつ状態に入りました。 と、そのとき、急に、ピタリ、と蝉の鳴き声が止んだのです。 いえ、止んだ、というより、自分の耳が、聞こえなくなった、というような感じでした。 代わりに、ただキーン……と、超音波なような音が、私の耳の中で鳴り始めました。 よく、高い所に行くと、なる、あれです。 「……なんだ?」 私は体を起こそうとしました。 しかし、動かないのです。 まるで手足がいうことを聞かず、立ち上がるということができないのです。 私が力を振り絞って、動かそうとしても、手足は呪縛されたかのように、重い感覚がとれず、頭もまるで、別世界に連れて行かれるような感覚に襲われ始めました。 「……まずい…!」 私は学生の頃から、よく、金縛りというものは体験していましたから、無理に体を動かせば、金縛りは解ける、ということは身をもって知っていました。 しかし今度のこれは、体をピクリとも動かすことができないのです。 ここまでしぶといのは初めてのことでした。 私は焦りました。 頭の中がどんどん重くなり、目も開けることができないのです。
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