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零崎一族。
殺人を好む人間が集まる一族。
仲間を家賊と呼び、守り、愛する一族。
俺、零崎紅識も例外ではない。
家賊を傷つけるやからは許せないし、生かしておくつもりも、ない。
そんな俺が、人の愛に初めて触れたときのお話・・・・
「・・・・・・」
空を見上げた。
真っ黒で光などない空。
自分がこの世界で生きているかすら忘れてしまいそうなほど、真っ黒な・・・・
「・・・まだ、生きてる、か・・・・」
自分の歩いてきた道を振り向くと、雨のせいで広がった血の跡が目立った。
「(普通の人間だったら死んでる出血じゃね・・・・)」
つくずく普通じゃない自分が嫌になる。
死にたくても死ねない苦しみはかなり、辛い。
「ねぇ、キミ、大丈夫?」
「・・・?」
俺が見える輩といったら、家賊か、もしくは死神・・・
「!」
いや、この匂い・・・・
「にん、げん・・・」
「?」
「・・お前、なんで、俺が見える・・・」
「・・・」
「俺が、見え、るということは・・・」
「普通じゃないよね、わかってる。」
「!?」
「だって、こんな街中なのに、誰一人キミに気付いてない。」
「・・・・」
「なのに僕はキミの存在を把握している。」
周りを見ると、この女を異様な目で見ている奴や、哀れな目で見ている奴らばかり
だった。
ついには携帯のカメラを取り出す輩まで・・・・
ぱきぃん
「なっ・・・!!」
「携帯、壊れやがった・・・・」
「・・・ありがと」
「・・あぁゆうやつは大嫌いなんだよ・・・」
「僕の家くる?キミを見えているのは僕だけみたいだし・・・・」
「・・・いいのか?俺は・・・」
「匂いで分かる。零崎一族だよね。」
「・・・あぁ、だから命狙われるぜ?」
「構わないよ。僕はいつ死んでも構わないから。」
そう言った女は、俺を気遣いながらも、家へと案内した・・・・
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