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「・・・大丈夫?」
「あぁ、さっきよりかは落ち着いた・・・」
「よかった」
そう言って女は微笑んだ。
女の部屋にしては嫌に殺風景な部屋だ。
あるものといえば・・・
冷蔵庫、洗濯機、キッチン、タンス、ベッド・・・
そのうちのベッドは、今俺が借りていて、タンスも一つしかない。
「・・・随分モノが少ないな。」
「うん。必要最低限のものがあれば、人間生きていけるからさ。」
「まぁ、な。でも、女ってのは、無駄にモノを持っていたがる生き物だろ?」
「個々の性格によるよ?モノを沢山持っていたい人や、僕みたいに、たいして必要
ないって考える人とか。」
「そんなもんか」
「零崎一族にはいないの?」
「極端にモノが少ない奴はいねぇ。だからと言って、多い奴もいねぇ。」
「そーなんだ。」
そして、今更ながら思った。
俺、こいつになんでこんな口軽いんだ?
このノリで企業秘密とか聞き出されるんじゃ・・・
「ねぇ。」
「!!」
いきなり声をかけられ、思いっきり身構える。
「・・・・?」
「お、お前、なんかの刺客で、俺から色々聞き出すつもりだろ・・・!!」
「・・・あのねぇ、僕は一般の人間だよ?」
「いやいやいや、油断は禁物!!」
「・・・・はぁ」
家賊だからって油断して、幽識に何回脅かされたと思ってる・・・!!
「・・・・あれ、それは俺が甘いからか・・・?」
何回やられても、俺が怒んなかったから、やってくるのか・・・???
「・・・・・・・・・・・・」
「怒るって行為も、家賊愛に入ると思うな。」
「うぐ・・・・・」
「後、心で何かを思わずに直接言ってよ。心でも分かっちゃうんだから。」
「・・・あぁ。」
そう、こいつは人の心を読むことができる。
一般人じゃ普通はアリエナイんだが、俺が見える時点でこいつは、俺の中では一般
人より少し進歩した人間とみなされている。
「・・・あ。」
「?」
「紅織にお菓子買ってやる約束してたの忘れてた・・・。」
「・・・いつの話?」
「任務に行く前に約束したから・・・昨日だな。」
待ってるだろうなぁ・・・紅織・・・
「じゃ、とっとと怪我治しちゃいなさいな。」
「おぅ。」
そして俺は、やっぱり普通の人間ではありえない回復力で傷を治した。
家賊の元に帰ったのは怪我をしてから三日後だった。
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