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「……人を殺すのはやっぱり気持ちのいいもんじゃないみたいだな」
……まあな
アジトへ戻ると皆が出迎えた。食事が用意されている。
お前ら逃げる準備はどうした?
「一蓮托生よ。皆で決めたことなの」
敬子が言った。
やれやれ、全くいいチームだよ、と柳は、まず手に入らない鶏肉に手を付け、よほどのことがない限り食卓には出さないビールを飲み干した。
「ねえねえ、これでもう終わったの?」
16歳になったばかりの香奈子が口を開いた。
うーん、そうだなぁ、ひとまずはな。けど大変なのはこれからだ。頑張れるか?
「うん! 頑張る!」
そりゃ心強いな。
宴も終わりに近付き、三々五々に散っていった。柳も自室の寝床へ向かった。裸電球も点けないままゴロリと横になった。すると軟らかいなにかが抱き着いて来た。美奈子だった。
「どれだけ心配したと思っているの……」太ももや胸を押し付けながら濃厚なキスが柳を包んだ。
「里江子に無理言って身体洗わせてもらったんだからぁ」
窓から差し込む月の光が均整の取れた美奈子の肢体を照らしていた。
「どこまで歩み続ければいいのかしら私たち……」
どこまでも歩み続けるさ。【第一章完】
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