episode1

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... 「・・・遅刻だな 完全に」 寝ぼけた顔で俺はつぶやいた 今は、朝九時 ちょうど授業開始のベルが鳴る頃と同時に俺は家の布団の上で目をさました 俺が光の早さでも持っていない限り、遅刻は確定している。勿論、そんな超人的な力を俺は持ってない まぁ、だからと言って 学校に行かないわけにもいかない とりあえず、空腹を誤魔化してパンを口に詰め込み、消化する間に着替えを済ませる 俺の家から学校までは自転車なら20分でつく。 授業開始から30分が経つと欠席扱いになるので、ソレまでに教室に入らなくては 鞄をつかみ、家から出る前に一旦鏡を見る 寝癖や癖毛のぼさぼさの頭だが、直すにしても後回しだ 自転車を飛ばし、学校へと急ぐ 通学路の途中、公園で工事をやっているのを見た 最近、遊具でケガ人が出たとかで、撤去するそうだ 仕方の無い事だが、俺は若干残念に思う 公園は遊び場だ 走り回ったりするのだし、怪我ぐらいしても当然だ しかし、今の時分そういった物は、あるべきでないとするのが大衆の意見でもある もうあそこで遊ぶ事はないだろうが、あの辺りは小さい頃遊んでいたので、思い出として名残惜しい 「・・・っと、遅れる遅れる」 ぼうっとしていて、その場に一分ほど立ちつくしていた ペダルを漕ぎ、学校に急ぐ ちなみに、俺があの公園で好きだったのはシーソーブランコという物だった あの公園の中でも、特に気に入っていたが、 遊具の中で最も先に撤去されている 何でも、怪我人が出たので危険と見なされたという 危ないといえば、危ないだろうが 撤去される理由になった怪我人を 無駄に恨んだりしたものだ あれは二人でやる物で、俺は名前も知らない近所の女の子と一緒にやっていた ただ、あれが撤去されてから引っ越したのか、ずっと来なくなってしまった もう、あれから7年は過ぎている ...
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