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"…どーしよ…"
途方に暮れた陸は、とりあえず辺りを見渡した。
すると、クラブ帰りであろう友人を数人見つけた。
幸運だ、これで助けて貰える。
疑いもせずに友人に駆け寄り、一鳴きした。
"助けてくれ~!"
発する事が出来るのは「にゃぁ」という鳴き声だけだったが、それでも友人の一人はこちらに気付いて足を止めた。
「ん? 汚いネコだなぁ」
しかし友人はそう言っただけで、また他の友人と歩き始めてしまった。
"…ぇ? ちょ、ちょっと…!"
当たり前に助けてくれると思っていた陸には、友人のその態度は衝撃的だった。
"俺だって! おぃっ!!"
追い掛けてニャーニャーと叫んでみるが、今度は他の友人にまでも、
「何、この汚いネコ」
と言われてしまった。
「そーいやさぁ、聞いた? 陸の話。」
"俺…?"
友人達が話題にしていたのは、ついさっき事故に会った陸の話だった。
「なんか、さっきそこで事故ったらしいぞ。
事故見てたツレから聞いたんだけど、怪我は大したことないらしい。
でも意識は戻ってねぇらしいよ。」
「うゎ、当たり所悪かったんじゃねぇ?
こえー。」
そう言いながらも冗談っぽく笑いながら話している友人の言葉が、信じられなかった。
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