3章

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「俺がお前の両親の意地をぶちのめしてやれば、沙羅は家に戻れるし、お前は気は休まるんじゃないか?」 そう、どちらも意志が折れないならば、別の誰かが片方の意志をへし折れば良い。 でも、これは難行苦行で、下手をしたら一生関係が修復できないものになってしまう可能性がある。 言わば………諸刃の剣なのだ。 「だがそれだと…」 「確かに、成功の確率は低いだろう。だが…始める前から諦めたくない」 「……………」 俺がそう言うとと霞が俯いて黙ってしまう。 俺はそんな霞を鼓舞するように言葉を繋げた。 「霞、俺が言ってやる。お前らはただ見守ってくれ」 「…立元…」 「俺は伊達にお前に鍛え上げられてないさ。だから成功させてみせる」 「……………フフッ…」 霞は暫く黙っていたが急に笑みを浮かべた。 「…全く…アンタは相変わらずとんでもないお人好しね。 普通だったらそんな家庭の事情に首突っ込む馬鹿はいないわよ」 「そうさ、俺は馬鹿だよ。だからなのさ」 俺も笑みを浮かべて霞に向き合った。
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