3章

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「…沙月が言った事だ。だから私は沙月の意志を尊重しただけだ」 「それは沙羅さんが貴方の圧力に圧されて言ったんじゃないんですか?」 仁さんが更に目を細める。でも俺は冷静な目を保ち続ける。 「それに母親さんは反対したんですか?」 「えっ…いや…その…」 霞母さんが急に話の矛先を向けられると思っていなかったのか狼狽える。 でも暫くすると、霞母さんは弱々しくながらもしっかり頷いた。 …つまり仁さんの独断か…なら…そろそろ怒らせますか。 「と、言っておりますが…仁さん、話が180°違うんですけど…実際のところどうなんですか?」 「……………」 仁さんが黙り始める。 中々感情抑制が利く人だな…だがそれが落とし穴だ。 仁さんは俺に言葉を畳み掛けるチャンスを与えただけだ。 「成る程、つまり一時の感情に身を任せて沙羅さんを追い出した。という訳ですか」 バンッ!!!! 遂に仁さんがテーブルに手を叩きつけて立ち上がった。 怒らせればコッチのもんだ。必ず勝つ。
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