3章

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「…じゃあ…仁さん…は…」 俺は手を離して数歩さがる。 「…あぁ…私が大人気が無かったせいで…沙月を苦しめてしまった…」 そこで仁さんは沙羅に向き直り、頭を下げた。 「すまない沙月━━━━━いや、沙羅。こんな不甲斐ない私を…許してくれ!」 俺は多少驚きながらも沙羅を見る。 沙羅は涙を流していて、だけど、どこか嬉しそうな顔で…小さくても優しく頷いた。 「ふっ…ではこれにて一件落着ですな!」 俺は腕を組み、ハッハッハと大きく笑う。 その俺の姿に霞一家は一度は茫然としながらも次第に笑みを深くする。 そしていつの間にか霞一家の笑い声が響き渡った。 「沙羅、約束してくれ。これからも…強く生きてくれ」 「うんっ!」 そして沙羅が仁さんと霞母さんと抱きしめ合う。 どうやら完全に和解しあえた様だ。 俺は静かに立ち上がり、静かに家を出ようとしたら服を霞雛に捕まれた。 「…立元…アンタって本当に…本当に馬鹿だけど…凄いわね」 霞が苦笑しながら、だけどどこか清々しい笑みをしていた。
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