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「………っ!」
俺は光の迷いの無い思いに、純粋に驚いてしまう。
そして、彼女…羽鳥光はそこまで純粋に俺の事を切実に思い続けていたのかと思うと…胸が痛くなってしまう。
何故なら…もしかしたら、俺は光に対して柊百合みたいな事をしてしまうかも知れないのだ。
彼女を傷付け、彼女の期待を裏切る結末を描く事になるのかもしれないのだ。
「…俺は凄くない、寧ろ最悪な人間なんだ」
「…だからなんですか?」
俺が呟くと光が抱き着きながらそう言ってきた。
「推理君は私にとって、救世主みたいな存在です。
私は推理君が杪ちゃんや恋ちゃんや沙羅ちゃんに奪われても…恨みません。
私は自分の意思でこの世界に飛び込んだんです。後悔はしません」
「………光…」
「だからそんな顔をしないでください」
俺の目に久々に涙が浮かぶ。
…そういや最後に涙を流した時は…愛理と本気の本音でぶつかりあった時以来だな。
…でもさ、たまには…泣いても良いよな?
そんな事を考えながら、俺は光の暖かさに包まれながら涙を流した。
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