5章

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だってよ、俺達を気絶させて、拉致をした張本人は悠々と庭で寛いでいるときやがってんだぜ! 普通だったらキレられてもおかしくはない行動ですよ!? 「はぁあ…取り敢えず千崎さん、俺を杪が居る場所まで案内してくれませんか? 少し、お話ししなければならない事がありますので…」 「判りました。ですが私はこれから旦那様と奥様の用事をこなさねばなりませぬので、申し訳有りませんが庭に出たら1人で杪様をお探しください」 「大丈夫です」 「では私に着いてきてください。なお、迷いましてもそこまで面倒見る時間がございませんのでご注意を」 そう言いながら部屋を出る千崎さんに俺は着いていく。 廊下も無駄に広く、正直面倒だと思った。 「時に推理様」 「なんですか?」 暫く歩いていると不意に千崎さんが俺に喋りかけてきた。 「今、杪様に対して怒りを感じてますでしょうか?」 「………はい?」 「…杪様は一般的な世間に対して少しズレて居るのです。ですので…お寛大な心で…」 そこまで言うと千崎さんは黙ってしまう。 そしてそのまま沈黙が続き、俺は庭に出た。
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