始章

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「あの…何か用ですか?」 「…あっ…いや…その…」 いきなり話しかけてきたので戸惑ってしまう。 すると少女は涙が浮かんだ鋭い目で俺を睨み始める。 「何も無いなら此方見ないで!!」 怒鳴られて思わず肩を竦めてしまう。それ程彼女の剣幕は凄かった。 「ちっ違う!俺は…どうして君が…泣いているのか…気になって…それでつい…」 「…そうですか」 彼女はそう言うと俯き黙り始める。 「………それより君、そんな格好で寒くないの?」 彼女の服装は長袖にミニスカート、靴下は膝よりちょっと下までしか長さがない。 しかも服は重ね着はしてないだろう。 「へ…平気です!」 …体を震わして言う台詞じゃないだろうよ…。 「兎に角これ着ろよ。」 俺は学ランを脱ぎ、セーター姿になる。 「あの…それだとアナタが━━━━」 「お前に拒否権無し。つべこべ言わずに着ろ」 有無を言わせず俺は彼女の肩に学ランを羽織らせる。 「………有り難う…御座い…ます…」 「どう致しまして」 初めて彼女の柔らかな表情を見れて、少し嬉しくなった。
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