2章

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「…日宮先生、ふざけているんですか?」 俺は立ち上がりながら言う。 口元がひくついているのが自分でもよく分かります。 「御免なさい、私…本当に度忘れして…思い出せないの」 「若年性アルツハイマーですか!あなたは!!」 「あうぅ…」 俺が怒鳴ると日宮先生が泣きそうな表情になる。 …この人、本当に教師か?何か怒る気が失せてきた。 「もういいです。案内しますから着いてきて下さい…」 「…ゴメンなさい」 それ以上は何も言わず日宮先生と教室に向かう。 「……でさ………なんだけど………」 すると空き教室から声が聞こえてきた。 多分、いや間違いなくサボりがいるな。 「…あの…何か変な声が…あと変な匂いしません?」 …言われてみれば…これは煙草だな。しかも酒まで匂う。 …犯罪の現場って奴か…。 「私、注意してきます」 「待った!」 日宮先生が危ない判断をしたので慌てて腕を掴んだ。
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