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「…霞、お前も苦労してんだな…」
「そうね…私も大変よ」
霞雛が目を伏せ、一息つく。
…何か意外だった。
いつも凛としていて堅物というイメージが強い奴だったのに今ここにいる霞雛は弱々しく同一人物とは思えなかった。
「…だが…俺は悪いが沙羅の目を覚ます気は無い」
それでも俺は沙羅の思いを踏みにじる気は更々無い、っていうか出来ない。
だからこそ俺は断った。
「…どういう意味かしら、理由によっては今度こそ地獄に送るわよ」
霞がナイフを再度振り上げる。下手な事を言ったら今度こそ確実に刺されるな…。
俺は慎重に言葉を繋ぎ止め、霞雛に説明する。
「霞、俺は沙羅の気持ちを尊重したい。
だから…アイツ1人のみ先にフる訳にはいかないんだ」
「っ…じゃあ沙羅の生活をどうするのよ!」
「落ち着け、だからこそ提案が有るんだ」
詰め寄ってきた霞雛をその言葉で落ち着かせて俺は再度言葉を繋ぐ。
「俺は沙羅の意志は尊重をするが…お前の両親の意志は尊重しないって事さ」
「…どういう意味かしら?」
霞が睨みながらもナイフを下ろす。そこで俺は再度言葉を繋いだ。
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