罠『ピットフォール』

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「何も言わないってことはいいんだね」 「よくない!」  頭を押さえてた手をそのままに怒鳴った。 「だいたい……」  ここで少女は息を軽く吸い、 「いきなり現れて『奴隷になれ』みたいなこと言われて、『奴隷になる』と言う奴がいるはずがない!」  と再び怒鳴っていた。 「そんな常識に囚われている君が悲しいよ」 「哀れむようにしてるが、言ってることはめちゃくちゃじゃないか!」  青年の言葉は、少女を更なる激昂へと導いていた。  森の中に『めちゃくちゃじゃないか……』『くちゃじゃないか……』『じゃないか……』と森の中に声を反響させていた。 「「…………」」  その反響が小さくなっていく様を2人して待つ。  そして、反響がなくなった途端 「早く逃げないと……殺すぞ」  ドスの利いた声で言ってくる少女の瞳は、殺意に満ちている。  しかし、そんな状態でも青年は笑みを浮かべたまま、まるで殺されない自信があるかのようにしていた。
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