始まり

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学校が終わって帰宅する。部活も引退した平日の午後。 折角時間が出来たというのに、友人は、揃いも揃って、塾を口にする。 嫌でも、受験生だということを思い知らされる。そんな日々。 家のドアを開け、玄関で無造作に靴を脱いだ後、階段を駆け上がり、右端の自分の部屋に転がりこむ。 「航、帰ったなら。 帰ったって言いなさい」 「はーい」 一階から声を上げる母親に、適当に返事をして、鞄をベットに放り投げる。 自分もベットに腰掛け、読みかけの雑誌を手繰り寄せた。 特に、何も変わり映えしない日常。 不満はない、暇なこと以外。 それも、受験が迫ればおさらばとなるのだから。気にしない、気にすることと言えば、新作のゲーム。流行りのファッションぐらいだった。    
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