先生

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「ここかぁ、"萩野高校"…。」 あたしは肩からずり落ちそうになるバッグを引き上げながらそう呟いた。 ぽかぽか陽気。 舞い散る桜。 本当に春らしい穏やかな日。 そして一年の始まりとして絶好の日である。 もうすでに生徒も登校し始めていて、次々と校門を通り過ぎていた。 新しいクラスの発表が楽しみなのか、みんな心なしか浮かれた表情をしている。 そんな中あたしは校門から数メートル離れた電柱の影にいた。 「…あれ?なんであたしこんなにコソコソしてるの? いいのよ堂々と学校に入って行って! あたしは今日からここで働くんだから!」
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