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「おはよう」
「「おはようございます!」」
その男がオフィスに入ると
そこにいる男女が皆背筋を伸ばす。
男が一番奥にある重厚な扉の奥に消えるまで、折り曲げた腰の角度を変える者はいない。
バタン
「…ぷっはぁ~…毎日毎日この瞬間が一番緊張しちゃう。」
「ほんとに毎日感情が読めないよね。」
「俺なんか、冷や汗かきまくりだぜ?」
「ほんとだ~ビショビショじゃん~」
皆、口々に彼のことを話す。
あまりに盛り上がりすぎて
先程閉じられたはずの扉が静かに開くのを気づく者はいなかった。
「君達は…
無駄口たたいてる暇があれば手を動かすという事もわからない程、低脳なのか?」
無言でデスクに座り
強張った表情をしている部下たちを余所に男は再び扉の奥に消えた。
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