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瞼が重い。
つけまつ毛なんてしなければ良かった。
「今日、当たりかな?」
手鏡を覗き込みながら、愛里が私に話し掛ける。
「年下だからおごりじゃないかもぉ」
私が何か言うよりも早く紗弥が答える。
紗弥の左手に握られた携帯電話はまだ相手方の到着を知らせない。
「年下ねぇ…。」
壁にもたれかかった身体を起こさずに
耳から入った情報をそのまま復唱してみる。
「でも、イケメンだからさっ!多分…!」
紗弥が私の腕を揺する。
「いやー麻由香は何気に理想高いからねえ」
愛里がニヤニヤしながら目配せをしてくる。
「愛里!麻由香!着いたって!」
紗弥は握り締めていた携帯電話をサッと鞄に滑り込ませ
両手を大きく振った。
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