過ち

7/11
前へ
/17ページ
次へ
"しょうちゃん、私の事好き?" パソコンに夢中なしょうちゃんを後ろから抱き締めて聞いた。 "そんなの、簡単に口にする言葉じゃないよ。" しょうちゃんは、困ったように笑った。 "じゃあー私のどんな所が好き?" "………全部。" "なにそれー全然答えになってない!もっと具体的にさぁー…" 言葉なんて、一瞬の気休めだって 実体のない、曖昧なものだって 分かっていながら "んー…癒されるとこ!" そう言って私に体重を預けるしょうちゃんが愛しくて 何度も、何度も聞きたくなった。 "好き?" もう一度聞いたら "好き…だ、よ!" 下手くそな棒読みと、 "………んっ" 照れた顔を見せないための、 強引なキスが返ってきた。 とても、 優しい人だった。
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加