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「誰とおるのが海里ちゃんの幸せか、決めるのは海里ちゃんやから。」
「…おん。わかってる。」
「僕は好きな人が幸せであってほしいから。」
「…俺かてそう思うよ。」
だから海里は隆平とおるんが幸せやと思う。
昔泣いている海里をおいて行った俺に
海里を守ることなんてできるはずがないんや。
「海里、隆平のこと、どう思う?」
「…え?」
二人で飯食ってる時、
持ちかけた。
俺かてそこまでアホちゃうから
海里が俺を好きなことくらい
気付いてる。
「なんで?なんでそんなこと聞くん?」
「俺、隆平やったら海里のこと幸せにできるんちゃうかなーって思うねん。」
海里は下を向いたまま
しばらく顔を上げなかった。
「…すば兄がそう言うなら、そうだと思う。」
久々に聞いた昔の呼び名。
俺と暮らして自然と慣れた関西弁も、
消えていた。
涙も見せず
ただ悲しげな笑顔で一言そう告げた後
また食事に手をつけた。
彼女は大人になっていた。
泣いてくれたら。
そんなんいややと否定してくれていたら。
俺は机をひっくり返してでも
海里を抱いたのに。
しばらくして、
海里が隆平と付き合うことになったと聞いた。
隆平は海里を大切にしてくれた。
それでもうちに帰ってきてくれることが
俺は嬉しかったんだ。
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