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「海里?きれいな名前やね。」 そう言って笑ったのはすばるの友達の丸山くん。 あれは3年前。あたしが17ですばるが25の時。 病院の屋上で柵を乗り越えてから2時間半 ただぼーっと外を見ていた。 落ちる覚悟が足りなくて 自分が苦しみながら育って来た街を見下ろしながら ただぼーっとしていただけ。 後ろから声が聞こえるまでは。 「…何で名前?」 「この縁起でもないお手紙の一番最後。」 指差されたのは靴に添えたあたしの最後の祈り どうかあたしを忘れないで 誰でもいいから覚えていて だけどそんな相手はあたしにいない。
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