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「すごいよゴンタくん!!! あんな重いセキトリンを投げ飛ばして、最後は靴飛ばしでドカンだもん!」
戦闘直後とは男もえぬほど無邪気にはしゃぐレイナ。
「いや~、二人のおかげッスよ」
「靴飛ばしは親父さんに勝ってたってことだよね? でも、それを思い出しただけで勝負事への緊張感が克服できたの?」
野暮な気はしたが、マスオは聞いてみた。
「それだけじゃないッス。親父は自分に嫌気がさしていたわけではなかったことに気付いたんッス」
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『親父!負けたのが泣くほど悔しいッスか?!』
『違うぞゴンタ。おれは嬉しいんだ!こんなに小さいうちに、お前が親父であるおれに勝ったことが』
涙を流しながらゴンタの親父は続ける。
『ゴンタ! これはただの靴飛ばしだが、お前はおれに勝ったんだ。このことは誇りに思え! 今後お前は多くの“負け”を経験するかもしれない。しかし、おれはもう何も言わん。おれは黙ってお前の強さを信じ続ける。強くなり続けろ、ゴンタ!』
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「親父は信じ続けてくれていたんッス。自分は勘違いしてたッス・・・」
マスオは、大粒の涙が似合う男を、生まれて初めて目の当たりにした。
「自分は強くなるッス。もっともっと」
レイナめ小粒の涙ぽろぽろと流す。
「だから、マスオ君! レイナさん! これから先よろしくっす」
ゴンタの強靱な肉体、自信に満ち溢れた笑顔に、マスオは本当の“強さ”というものを感じた。
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