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『おい、お前ら何をしている?』
『あん!? 誰だお前は?』
『そこで倒れてる隆史のクラスメイトだ。おまえら六年だな? 二年一人をそんな大人数でいじめて何が楽しい?!』
自分より一回りはでかい六年生の集団に、ユウヤは突っ掛かる。
六年生の集団は、倒れている隆史から目を離し、ユウヤを嘲笑う。
『お前生意気だなぁ! お前も殴られたいのか?』
そのなかの一人がニヤつきながらユウヤに近づく。
しかし、ユウヤに掴み掛かった刹那、ユウヤのローキックが決まり、怯んだところをボディブローが続き、その六年生は倒れこむ。
『ふん。雑魚すぎるな』
『てめぇ!!!』
嘲笑っていた六年生の顔が一瞬にして怒りに満ちあふれ、一斉にユウヤに飛び掛かる。
ユウヤが廊下を背にするのに、そう時間はかからなかった。
擦り傷と米粒だらけで道路を背にしているユウヤは、小学生のときの敗北を思い出した。
身体を震わせ右手を強く、強く握り締める。
「・・・・・・ちぃ」
プライド高きユウヤの敗北から引き起こされた屈辱以上の感情。
あの時とは違い、それに気付けるほど、ユウヤは大人になっていた。
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