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「『百鬼夜行出現…町一つが壊滅状態』ねぇ…本当にそうなの?」
「そうだな…騒ぎは収まったが、住民は皆怯えて家からでないそうだ。学校も閉鎖らしい。たかだか妖怪が祭騒ぎを起こしただけだというのに情けない」
妖怪には、自分と形の違う生き物への恐怖がわからないらしい。
人間には町中の猫が集まり練り歩くだけで異常事態なのだが。
「それで~?肝心の九尾の狐はどこに」
「それならな、一カ所に落ち着いたようじゃて。また隠れ里に籠もっておる」
またぁ~?と柾はげんなり。
せっかく引きずり出したというのに、これでは元の木阿弥である。
「なぁに、今回は前と比べて浅い場所におる。隠れ里の中心にある大樹で休んでいるようじゃの」
ぬらりひょんもいつからあるのかわからないという大きな樹、それは妖怪を生み出すとされている神聖な樹だという。
九尾の狐はその力を利用する気なのだろうと、楓は疲れ切った顔で言った。
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