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皐月は下を向いて柾に隠れて歩く。
柾は早足気味に歩く。
すれ違う人は皆、ぎょっとした顔で振り向く。
「センセー…すっごいやな感じー」
「もうちょっとだから」
絶対楽しんでる、皐月は確信した。
交番に着くと、柾は皐月に「今日拾った物」を出しなさいと言った。
「五円玉…ですかぁ」
警官はあんぐりと口を開き、皐月の手にある五円玉を眺めた。
「はい、宜しくお願いします」
柾は有無も言わさぬ笑顔で言うと、五円玉を机に置かせて、さっさと出ていってしまった。
「これで、皐月は五円玉を『盗った』事にはならなくなった、でしょ」
確認してごらん、と何処からか鏡を取り出し皐月に見せた。
すると、確かに綺麗に目は消えている。
「あのお巡りさんが真面目な人なら大丈夫だけど…」
交番から叫び声が聞こえてきた。
「…ま、あの人ももう少しの辛抱だし」
「センセ、放置ですか」
「とりあえず…次は、百々目鬼の方だね」
柾は楽しげに言った。
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