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「ただいまー…ってうぉわ!!」
家に着いた俺を待っていたのは、
「「お帰りなさいまし」」
待っていたのは俺の両親。…と言ってもどちらも美人な女性にしか見えないだろう(俺以外からは)。
「父ちゃん、アンタは声が若干男っぽ過ぎるから気をつけてくれって」
「↑お帰りなさいまし」
「うん、まあいいんじゃない…?」
いや、よくないな。
「てか父ちゃん母ちゃん何してんの!?二人とも着物なんか着て!しかも真っ黒!喪服!?」
「あら、今日はやけに瑞樹のツッコミが鋭いわねぇ。何かいいことあったの?」
「嫌なことしかなかったよ!」
「さあ、お父さんの胸へ飛び込んでおいで!」
「アンタは『嫌』そのものだよ!!」
「ひどい!せっかく瑞樹の誕生日を祝ってあげようと思ったのに…」
親父が玄関の隅の床でウジウジしている。
親父といってもさっき言ったように(俺以外には)美人な女性に見えるので別にキモくはない。
って、ん?
誕生日?
「あ、俺の誕生日?」
「そうよ!明日瑞樹の誕生日でしょ?でも私達明日から世界旅行に出かけるから一年間くらい家を空けるじゃない?そうなったら瑞樹と会えなくなるから今日はとっておきの……」
「ちょ、ちょっと待った!」
???
明日が俺の誕生日で今日誕生日会を開くのは別にいい。
しかしその理由が…なに?世界旅行?は??
「父ちゃん母ちゃん旅行に行くのか!?」
「そうだよ瑞樹。だから僕達がいない間、留守番頼んだよ」
「聞いてねぇよ!明日の何時に行っちまうの!?」
「朝5時」
「中途半端に早い!俺が起きそうで起きない時間に……!」
「まあとにかく誕生日会始めましょ。」
母が強引にリビングへと引っ張っていく。
母だけなら振り払えるが、父(美女)が加勢したのでどうしようもない。
「ちょ!誕生日会は素直に嬉しいから!とにかく話を!!」
俺の悲痛な叫びだけが夜空へと消えていった。
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