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俺の話を全部スルーされるという、なんとも和やかな誕生日会は終わりを告げた。
俺は冷や汗やらなんやらを洗い流すために風呂に入った。
そして自分の部屋へ。
「はぁぁぁぁ……」
なんかもう疲れた。
クラスメートは変だし、
両親は急にいなくなるらしいし。
「……」
ふと、机の上の鏡に目をやる。
そして自分の顔を見るとやはりため息。
「はぁぁ…。俺ってそんなに女に見えるのかな?」
鏡に写っているのは、
肩まで伸びた綺麗な黒髪、
大きい眼に可愛らしい口…と、
しかしそれでいて表情にはどこか男の気配のようなものが見え隠れ……って、
「自分の印象がほとんど自画自賛ってどゆこと!?」
『うるさいわよ瑞樹!』
「あ、ごめん」
思わず叫んでしまった。
そんなことはいいとして、このどっち付かず――女寄り?――の顔が嫌で仕方ない。
そしてふと呟く冗談混じりの独り言。
「こんなことなら、いっそ女に生まれたほうが楽だったかもな」
そんな冗談を聞いてくれるのは鏡に写る自分だけ。
「……ふぅ、もう寝よう。明日早く起きて父ちゃん達を見送ってやる」
そしていつも通りに布団に入る俺。
すぐに眠りについた俺が、月光を受けた鏡の不自然な輝き方に気付くわけがなかった。
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