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親がこの声に気付かなかったのは向こうがうるさかったからか?
電話の向こうから飛行機の音が聞こえたし、空港に着いたんだろう。
「しっかし担任が女と間違うほどかー…」
やっぱり女にしか見えない自分の身体を見下ろす。
「……(汗)」
うーん。
我ながらスタイルのいい体だ。
モデルにでもなろうかな。
こうなると逆に皆に見せてみたい衝動に駆られる。
「……いやダメだ!」
そんな事をしたら襲われる!
あのクラスは男女を区別している人間なんかいなさそうだし。
やっぱサボるか。
と、考えていた時、
ヴヴヴヴ!
ヴヴヴヴ!
携帯が震える。
見ると、父親からメールが来たようだ。
『瑞樹か?』
電話じゃないんだから聞くなよ。
『さっき電話で言い忘れたんだけど、学校を休んだら……』
「……?」
ここで切れている。
休んだらどうなるんだ?
気になるので直接電話してみる。
プルルルッ
ガチャ
《もしもしうわぁぁあああ!》
「父ちゃん!?どうした!?」
《おお瑞樹か。今アフリカでライオンと対面しているんだ。》
「対面!?ってか早!もうアフリカかよ!」
《いやーライオンも可愛いものだよ。ご覧、顎を撫でると喜ぶぞ!》
「電話なのに『ご覧』とか言うな!見れるか!」
《…今ちょっと噛まれそうだった……》
「危ねぇな離れろ!そんな事より、あのメールの続きなんなんだ?」
《ああ、学校をサボったらライオンの糞を瑞樹にぶちまけるって話?》
「そうそうサボったら……ってハァ!?それ親としてどうなの!?」
と言っても俺の両親は一度言ったことは実行するという、無駄に男らしい人達だ。
恐らく帰ってきたら先生に聞いて、サボりが発覚した瞬間に俺の元へ現われることだろう。
《ん?瑞樹お前、なんか声高いような》
「あ!学校に遅刻しそうだから切るね!」
ガチャ
今の親にこんなショッキングな事を知られたら、びっくりした親にびっくりしたライオンが親を喰いちぎることもあり得なくはない。
親が帰ってくるまで黙っておこう。
平和に世界旅行を楽しんで来てくれ。
「これじゃサボるなんてもっての他だな」
そこで俺は、父がなぜか持っていた「さらし」を引っ張り出し、それを胸に巻いて学校に行くことにした。
・・
コレがデカくなくて本当によかった……。
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