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「じゃあ心音を聴くんで、服脱いで」
神様、あなたは俺が嫌いなんですか…?
本当にあっけなく服を脱ぐように指示された。
「すみません、今胸の辺りをケガしてるので服の上からでいいですか?」
「ダメだよ、服の擦れる音で心音が聞こえないからね……ジュルリ」
「……?」
今背中に寒気が……?
「とにかく、早く脱いでくれたまえ。あとがつかえてるんだから」
オッサンに無理矢理、学ランとその下に着ていたTシャツを脱がされる。
何すんだ変態!
これでもう俺が女だってバレて……。
「……ケガってそんなに重症なのかね?」
「へ?」
そういえば俺は家からさらしを巻いてきたんだった。
いや、よく見ると包帯?……みたいにデザインされたさらしか。
なんで父ちゃんはこんなの持ってたんだ……?
「はい、ちょっといろいろありまして」
「そうか……」
なんかガッカリしている。
まさかこのオッサン、そっちの気が……!?
「まあいい、包帯の上からなら心音は聞けるからね。ちょっと失礼」
オッサンが聴診器を耳にセットする。
何はともあれよかった。
これなら触られもしない限りバレる事なんて……。
ん?聴診器って事は…!
ビクッ
「……ッ!?」
聴診器が胸に当たった瞬間に体に走る電気の様なもの。
これは…?
「すまん!ケガに触れてしまったか?」
「いえ……大丈夫です」
再び聴診器が当てられる。
「…んぁっ!」
「だ、大丈夫!?」
先ほどよりも強い衝撃が脳まで伝わる。
看護婦さんが、さすがに心配になったのか俺の元へ駆けつける。
「すみません、気分が悪いので外に……」
その時の俺にはそれしか言えなかった。
すぐさま立ち上がり、保健室を走って後にする。
『おい、早乙女!どこに行く!』
担任が呼び止めるが無視してトイレへ駆け込む。
個室に入り鍵をかける。
「はぁ……俺、どうしちゃったんだ?」
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