みっくす!俺?私?

6/7
前へ
/36ページ
次へ
「じゃあ心音を聴くんで、服脱いで」 神様、あなたは俺が嫌いなんですか…? 本当にあっけなく服を脱ぐように指示された。 「すみません、今胸の辺りをケガしてるので服の上からでいいですか?」 「ダメだよ、服の擦れる音で心音が聞こえないからね……ジュルリ」 「……?」 今背中に寒気が……? 「とにかく、早く脱いでくれたまえ。あとがつかえてるんだから」 オッサンに無理矢理、学ランとその下に着ていたTシャツを脱がされる。 何すんだ変態! これでもう俺が女だってバレて……。 「……ケガってそんなに重症なのかね?」 「へ?」 そういえば俺は家からさらしを巻いてきたんだった。 いや、よく見ると包帯?……みたいにデザインされたさらしか。 なんで父ちゃんはこんなの持ってたんだ……? 「はい、ちょっといろいろありまして」 「そうか……」 なんかガッカリしている。 まさかこのオッサン、そっちの気が……!? 「まあいい、包帯の上からなら心音は聞けるからね。ちょっと失礼」 オッサンが聴診器を耳にセットする。 何はともあれよかった。 これなら触られもしない限りバレる事なんて……。 ん?聴診器って事は…! ビクッ 「……ッ!?」 聴診器が胸に当たった瞬間に体に走る電気の様なもの。 これは…? 「すまん!ケガに触れてしまったか?」 「いえ……大丈夫です」 再び聴診器が当てられる。 「…んぁっ!」 「だ、大丈夫!?」 先ほどよりも強い衝撃が脳まで伝わる。 看護婦さんが、さすがに心配になったのか俺の元へ駆けつける。 「すみません、気分が悪いので外に……」 その時の俺にはそれしか言えなかった。 すぐさま立ち上がり、保健室を走って後にする。 『おい、早乙女!どこに行く!』 担任が呼び止めるが無視してトイレへ駆け込む。 個室に入り鍵をかける。 「はぁ……俺、どうしちゃったんだ?」
/36ページ

最初のコメントを投稿しよう!

48人が本棚に入れています
本棚に追加