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「はい、大根豚しゃぶサラダと軟骨唐揚げです。取り皿ご利用下さいー」
「やっぱさ、部署に若い女の子って必要だと思わない?」
「おお、わかるわかる」
「研究部門ってさ、意外と若いコいるじゃない。むしろこっち営業フロアの方がベテランのおばちゃんばっかでさぁ、」
「実は今年の新入社員もひとり女のコ、だって聞いてたりする」とニヤリ。
「まぢで?去年もいたじゃん。なんだかなぁー、人材流動が必要だ、澱んでる!まったくもう」
軟骨唐揚げにマヨネーズをつけて食べる。その間に隣の杉田は大根サラダを手際良くよそう。
「そういや、さ」杉田が嫌らしく笑う。
「研究部門の予算削減どうなったよ。渥美のとこも例外じゃねぇだろう?」
「ドンピシャだよ」
唐揚げを2個連続で食べたせいでクチの中に残った油の感触を続く大根サラダで洗浄する。
「全体的に削減するよう言われてるから例外無しだってさ」
「でも渥美のとこは成果上げてるんだろ?むしろ役に立ってねぇプロジェクトをガンガン潰しちまえばいいじゃねぇか」
「研究って捉え方が難しくてさ。知ってるだろ、去年ブレイクした例のアレ」
頭の上で両手でウサギの耳を作って目線を送る。
「あー、あのキャラとコラボして売れたアレね。よく売れたよ~、近年例をみない大ヒットだぜ」
「実はあのプロジェクト、潰れる寸前だったんだよ。
最初はBtoBでやるつもりで始めた技術だったからさ、大手ネットワーク事業者に総スカン食って。もうまったく目は無い、って。
プロジェクト立ち上げ時は20人いた人員も2年くらい前には3人まで減らされて、、」
「それが突如あの大ヒット」
「そう。だから止めるとか縮小するって判断はかなり難しいんだよね。つうことでダメプロジェクトでも細々~と残る。
ってことは予算を食い続けるわけで、うちら売れっ子が多少被るのも明日は我が身と思えば仕方無し。と」
「ふーん、成果主義の営業現場からするとなんとも尺然としない話だなー」
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