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次の瞬間、黄砂の後ろにあるワープホールがほのかに光った。
「来たっ!」
「誰か、呼んだんですか」
何故か黒識は溜め息を吐き「もう、終わりか」と呟いた。
その呟きは悲嘆に暮れたものではなかったが、黄砂は気づかない。
「ハハハハハ!!そーだよ!先輩が来たからにゃてめーも終わりだっ!!」
叫びながら黄砂はワープホールを見る。
「って!!総督!?」
なんでラスボスであるはずの総督が来るんだ!??
そう、ワープホールから悠然とした動きで出てきたのは黄砂の上司でほとんど実戦には出てくることのない総督だった。
それを見た黒識は溜め息をもう一つ。
「よりによって君か」
黒識のその言葉に泰然自若としていた総督がピクリと反応する。
次の瞬間、黄砂は自分の耳を疑いたくなった。
「はい!!私です。あぁ、お久しぶりでございます、我が君!どれだけ私が黒識様にお会いしたかったことか!!」
感激に打ち震えた総督は黒識の足元に膝を折り仮面をとる。
素顔の総督の顔はかなりの美形だった。
が、
「黒識様にこの組織を潰していただくこの日をどれ程の時間待ったことか!!私の人生は黒識様にお会いするこの一時のためだけに生きてきたようなものですっ!あぁ、興奮してしまい申し訳ありません!!久方振りに黒識様の御尊顔を前にして気持ちを抑えられないのです!私のことを不快に思ったのならば、どうぞ!!昔のように私に折檻して下さいませ!」
キラキラとした瞳で黒識を見つめ、恋した乙女のように頬を紅く染めた彼は・・・かなり残念な美形だった。
「え?ちょ?あれ?そ、総督?総督ですよね?本物ですよね?」
黄砂が戸惑いつつも黒識に膝まづいている総督に問い掛ける。
その問い掛けに総督は立ち上がり黄砂の方を向いた。
表情は黒識を相手にした時とは違いキリッとしており端整な顔に相応しい表情だった。
「貴様は・・・」
「黄砂ですよ。貴方達がオレのレンジャーから引き抜いたんでしょう」
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