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翌朝も、食料庫は空になっていた。
呆然とする女の脇を夫が仕事の支度をしながら通り過ぎる。
夫は、やはり泥棒だろうと言った。
食料を盗っていくなんて、余程せっぱ詰まった泥棒なのだろう。
しかし…二日も続けて盗みにはいるだろうか。
夜中に気づかれずに食料庫まで行き、調味料の一粒まで残さず、しかも容器はそのまま残して鍵をかけ直して逃走…なんてはたしてできるのだろうか。
百歩譲ってそのような者がいたとして、また今夜も来るのだろうか…。
馬鹿げている。
そんな面倒なことをするくらいなら金品を盗んでいった方が余程長持ちする。
いくら考えても犯人の意図が読めず、やがて泣き出した赤子の面倒をみにいくことにした。
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