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「イタダキマス」
ぽむっと可愛らしい音が響く。
ギチギチと手首に食い込む縄が頭上で鳴いてる。
アリスはお行儀よくナイフを手にして…あれ?
なんで、ボクがテーブルに乗ってるんだろう。
「チェシャ猫さん、今日は素敵なパーティーに呼んでくれてありがとう!」
「…どういたしまして。ねぇ、コレ解いてくんない?」
「だめよーこれからおなかを裂いて、美味しいお肉をいただくんだもの!」
アリスはボクのお気に入りのパーカーを布切り鋏でチョキチョキ切っていく。
「勿体無いなー…コレ、高かったんだよ?」
「あら、ごめんなさい!でもこれがあると邪魔なんですもの」
襟首まで切り裂かれた黒と紫のボーダー、その真ん中にボクの青白い肌が見える。
アリスは大きくてこぼれ落ちそうな瞳をキラキラさせて、すーっとナイフを軽く、肌の上を滑らせた。
「さすがにバターナイフじゃ切れないわ」
ふうっとため息をついた後、勢いよくナイフを突き刺してくれた。
「ぐっ…ぁ…」
「痛い?チェシャ猫さん、痛い?」
何度も訊きながら、アリスはナイフをぐちゃぐちゃかき回す。
痛い、熱い、目がチカチカする。
アリスの顔がほんのり赤くて、可愛い、凄く可愛い。
「あぁ、ごめんなさい。やっぱりこのナイフじゃ切り裂けないわ」
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